6-1.句と節
基本的な文型について理解できたところで、次に文章を構成している要素(主語・述語・目的語・補語・付加語)について考えてみよう。文型の解説ではそれぞれの要素を単語として扱ってきた。しかし、これらは常に単語であるとは限らない。
ここでは「単語ではない要素」について触れることにする。
■例を挙げてみよう。
例1) | 英語を勉強することは | 私達にとって | 大切だ。 |
S | 付 | 述⇒形容動詞⇒P |
この文章の S は単語ではなく語群である。この S の内容を見てみよう。
ここには「勉強する」という動詞を含んでいる。そして、これが「英語を」という直接目的語を伴って、「・・こと」と名詞化することにより S を構成している。
この場合「勉強する」に対する主語は無く、この中では主語・述語関係は成り立っていない。(→名詞句)
例2) | 私は | この本を読む時間が | 欲しい。 |
S | O(直) | V(完他) |
この文章の O(直) は単語ではなく語群である。この O(直) の内容を見てみよう。
ここには「読む」という動詞(連体形)を含んでいる。そして、これが「この本を」という直接目的語を伴って、「時間」という名詞を修飾している。
この場合も「読む」に対する主語は無く、主語・述語関係は成り立っていない。(→形容詞句)
例3) | 私は | 彼に会いに | 行った。 |
S | 付 | V(完自) |
この文章の 付加語 は単語ではなく語群である。この 付加語 の内容を見てみよう。
ここには「会いに」という動詞(連用形)を含んでいる。そして、これが「彼に」という直接目的語を伴って、付加語を構成している。
この場合も「会いに」に対する主語は無く、主語・述語関係は成り立っていない。(→副詞句)
これらの例では、語群から成り立つそれぞれの要素の中に、主語・述語関係をもっていない。
これを 句 という。
例1は動詞が名詞化することにより、語群全体が主語の働きをしているので名詞句。
例2は動詞を含む語群が名詞を修飾(形容詞の働き)しているので形容詞句。
例3は動詞を含む語群全体が付加語(副詞)の働きをしているので副詞句。
句はこのように分けられる。
■もう少し例を挙げてみよう。
例4) | 私は | 彼が医者なのを | 知っている。 |
|
S | O(直) | V(完他) |
この文章の O(直)は単語ではなく語群である。この O(直)の内容を見てみよう。
ここでは「彼が医者である」という主語・述語関係をもつ語群が「・・の」と名詞化することによりO(直)を構成している。(→名詞節)
例5) | これは | 彼が書いた手紙です。 |
S | 述⇒(名詞+助動詞)⇒P |
この文章の P は単語ではなく語群である。この P の内容を見てみよう。
ここでは「彼が書いた」という主語・述語関係をもつ語群が「手紙」という名詞を修飾している。(→形容詞節)
例6) | 私が彼を訪ねたとき、 | 彼は | 寝ていた。 |
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付 | S | V(完自) |
この文章の 付加語 は単語ではなく語群である。この 付加語 の内容を見てみよう。
ここでは「私が彼を訪ねたとき」という主語・述語関係をもつ語群が付加語を構成している。(→副詞節)
これらの例では、語群から成り立つそれぞれの要素の中に、主語・述語関係をもっている。
これを節という。
例4は主語・述語関係をもつ語群全体が目的語(名詞)の働きをしているので名詞節。
例5は主語・述語関係をもつ語群が名詞を修飾(形容詞の働き)しているので形容詞節。
例6は主語・述語関係をもつ語群全体が付加語(副詞)の働きをしているので副詞節。
節はこのように分けられる。